第15章

「林田朔夜?」

藤原承弦は彼女の手を握ったまま、名を呼んだ。

前髪は冷や汗で濡れ、息が浅く速い。

胸の奥がきゅっと締まり、承弦は咄嗟に上着を脱いで彼女を包む。自分でも気づかないほど声が低く、柔らかくなっていた。

「少しだけ我慢しろ。救急車、すぐ来る。怖がるな」

林田朔夜は答えない。ただシートに深くもたれ、心の中で繰り返す。

――赤ちゃん、どうか無事で。

承弦は彼女の様子を見ながら、片手で素早くメッセージを打つ。顔つきは沈みきり、今にも雫が落ちそうだった。

病院に着くと、承弦は一本の電話を受け、診察室の前で足を止めたまま短く応対してから、先に外へ出た。

一通り検査を終えた医師...

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