【第34章】

車がマンションの前にすっと停まっても、林田朔夜の頭の中はまだ「健康診断」のことでぐるぐるしていた。

どうにか、避けないと。

エレベーターの中で、彼女はそっと藤原承弦を盗み見た。彼はスマホを眺めていて、横顔には感情がない。

林田朔夜は深く息を吸い込む。

「藤原承弦」

「健康診断なんだけど……」声を少しだけ甘くする。ほんのり、媚びるみたいに。「行かなくてもいい?」

藤原承弦が眉を上げ、彼女を見る。

「この前、S市で受けたの、ほんとにすごくちゃんとしてたの」林田朔夜は真剣に言った。

「まだ半月しか経ってないし、またやる意味ないよ」

「それに……レントゲンとかって被ばくもあるし。短...

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