第44章

藤原承弦は黙ったまま、眉間の皺だけがさらに深くなる。車内はまた、しんと静まり返った。

そのとき、林田朔夜のスマホが鳴った。

画面に踊る四文字――周防島一。

藤原承弦もそれを見ていた。目元がいっそう冷え、底の見えない寒気が滲む。

林田朔夜は通話を切り、マナーモードにしてバッグへ戻した。

藤原承弦の全身が陰っている。嵐の前触れみたいに、重い。

車は公寓の前で停まった。

林田朔夜が降りても、藤原承弦は動かない。何も言わない。

少し待ったが、セダンは未練もなくUターンし、夜の闇へ消えていった。

林田朔夜は口角を引く。

二回目だ。

彼が彼女を建物の前に置き去りにして、ひとりで帰っ...

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