第52章

林田朔夜は眉をひそめて彼を見た。

「私、最近胃が弱いって知ってるでしょ。お医者さんにもお酒はやめなさいって言われてるの」

「飲ませないさ」男は言う。「朔夜、俺はただ――そばにいてほしい。横にいてくれるだけでいい」

林田朔夜は小さく頷いた。

「分かった」

夜八時。宴会場。

藤原承弦が姿を見せた瞬間、周囲の空気がすっと変わり、あっという間に人が集まってくる。

「藤原社長! お噂はかねがね!」

視線は彼から、その隣へ移った。仕立てのいいドレスに身を包んだ林田朔夜へ。

「藤原社長、こちらの方は……?」

藤原承弦は林田朔夜の腰に軽く手を添え、前へ促す。

「林田朔夜。SK会社の副社...

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