第59章

そう思っていたところで、スマホが鳴った。林田朔夜が取り出して確認すると、赤井弦子からだ。

彼女は雨宮雲たちから少し距離を取り、通話に出る。

「朔夜!」

受話口から弦子の声がぱんっと弾けた。抑えきれない興奮が、そのまま爆音になって飛び込んでくる。

「聞いて! いい知らせ!」

その勢いに感染して、朔夜の口元も思わずゆるむ。

「いい知らせ? お金でも拾った?」

「拾うどころじゃないって!」

弦子の声が震えている。

「うちの雑誌社、でっかい投資取れたの!」

「藤原グループが……億単位で出資してくれるの!」

朔夜の笑みが、ふっと止まった。

けれど弦子は浮かれきっていて、まるで気...

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