第10章

早宮悠人は米崎梨央を目にした瞬間、表情が露骨に強ばった。視線は泳ぎ、なのに目だけは、どうしても彼女を追ってしまう。

もともと彼の婚約相手は米崎梨央だった。だが鈴木朱音が戻ってきた途端、鈴木家は「結婚相手は朱音に替えるべきだ」と言い出した。

家の人間も口を揃える。

鈴木朱音こそが鈴木家の本当の娘。朱音と結ばれるほうが釣り合いもいいし、早宮家と鈴木家、両家の縁組としても都合がいい——と。

悠人は梨央が好きだった。それでも、迷いを断ち切るように婚約を改めた。

それなのに。

いま目の前に梨央がいるだけで、心臓がどくん、と跳ねる。

本当はずっと好きだった。現実が邪魔をしなければ、梨央と別...

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