第30章

米崎梨央は相変わらず表情ひとつ動かさず、ただ新村慎之介を見つめていた。

新村慎之介も淡々とした顔つきで、何を考えているのか読めない。

――私まで疑ってるってこと?

急に、可笑しくて仕方なくなる。同時に、自分が余計なことをしただけだとも思った。

……それでも、後悔はない。

同じ医療に携わる人間として、見殺しにするなんて性分が許さない。

たとえまた厄介ごとに巻き込まれるとしても、あの場に戻れるなら彼女はきっと、迷わず新村おばあさんを助けただろう。

そう思った瞬間、梨央は呼吸を整え、瞳の温度だけがさらに冷たく落ちた。

『好きに思えばいい。信じたければ信じればいい。私は胸にやましいと...

ログインして続きを読む