第51章

米崎梨央が出ていった直後、個室の窓の外から、音も立てずに一人の男が忍び込んできた。

黒鷹は新村慎之介の前まで歩み寄り、腑に落ちない顔で言う。

『若様、なんで米崎さんに言わなかったんだよ。暗号手帳を本当に持ち去ったの、島崎静香さんだって』

『言ったところで無駄よ。島崎静香は「失くした」の一点張り。おばあさんの前で土下座して、殴られても罰を受けてもいいなんて芝居まで打った。そんなので、すぐ見つかると思う?』

新村慎之介の目の奥に、冷たい光と苛立ちが滲む。

島崎静香が新村家で育てられた人間でなければ、とうに手荒いやり方に切り替えていた。

それでも――猶予はたった3日。

3日後に暗号手...

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