第82章 結婚前は構わない、結婚後は勝手にしないで

鈴木莉緒は彼が何をするつもりなのか聞きたかった。

だがすぐに、自分がこんな状態なのだから、彼が横になったところで何ができるだろう、と思い直した。

結局、聞くことはなかった。

彼は彼女の後ろに横たわり、腕を彼女の頭の下に差し入れ、胸を彼女の背中にぴったりとつけた。もう片方の手はスカートの下から滑り込ませ、彼女の下腹部に当てがわれた。

掌の温度が一瞬にして下腹部の冷たさを覆い、その熱が皮膚から染み込んでくる。痛みが少しずつ引いていくようだった。

鈴木莉緒は、彼がまさかこんなことをするとは、夢にも思わなかった。

「森遥人、あなたって結構やるじゃない」

やはり恋愛経験者は違う。人の世話の...

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