第95章 花にアレルギーがある

森遥人が果物の籠を提げ、鈴木莉緒はその一歩後ろを歩いていた。

ドアをノックして病室に入ると、まず目に飛び込んできたのは、テーブルの上に置かれた美しくも上品な花束だった。

鈴木莉緒は思わず眉をひそめる。

ソファに座っていた白石知世が、森遥人と鈴木莉緒の方を振り返った。

彼女は加賀信也と鈴木莉緒のコメント欄でのやり取りを見ており、二人が喧嘩でもしたのかと思っていた。

「父さんの容態は?」森遥人が歩み寄り、果物籠を置く。

「だいぶ良くなったわ」森夫人は果物籠に目をやり、「どうしてまたこんなものまで持ってきたの?」

森遥人は言った。「鈴木莉緒がどうしても何か買いたいって言うから」

森夫...

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