第105章

翔太は警戒心を露わにこちらへ視線を向けたが、私が気付いていないふりをしているのを確認すると、ようやく美香を突き放すようにソファへ座らせた。

私と奈菜たちもそこでようやく視線を彼らに戻した。彼に感づかれないよう、あらかじめ視線を逸らしていたのだ。

「さっさと帰れ。二度は言わないぞ」

翔太が冷ややかな声で言い放つ。

美香はグラスを奪い返し、一口、また一口と煽るように酒を飲み続けていた。

その時、奈菜が歩美に目配せをして言った。

「何か適当な理由をつけて美香に近づいて。で、こいつを彼女のグラスに入れてちょうだい」

歩美は小さく頷くと、奈菜から例のモノを受け取り、足音を忍ばせて近づいて...

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