第109章

奈菜は涙をぬぐうと、弘之をきっと睨みつけた。

それを受けて、弘之はこちらに向き直り、こう言った。

「不幸中の幸いだな。お前のその体の弱さじゃ、少しでも怪我してたら数ヶ月は寝込んでたぞ」

そんな憎まれ口を聞いて、私は思わず吹き出した。

「そんな大袈裟な。私、こうしてピンピンしてるじゃない」

ところが、蓮が眉を寄せて口を挟んだ。

「奈菜の言う通りだろ。いい年なんだから、自分の身くらい自分で守れよ」

私は奈菜に向かって唇を尖らせてみせる。

奈菜はそんな私の様子を見て、笑い声を上げた。

「知らないでしょ。この数日、蓮がどれだけあんたのこと心配してたか。ずっとベッドの脇にへばりついて...

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