第19章

田中奈美は私に気づくと、慌てて私を指差して言った。「翔太さん、由依さんがお戻りになりました、直也坊ちゃんもご一緒です!」

林田翔太はそこでようやく私の方を振り返り、陰鬱な声色で言った。「どこへ行っていた?」

私は無表情のまま、直也をそっとソファに下ろした。「どういう意味? まさか、私が出かけるたびにあなたに報告しろとでも? それとも、もう私を軟禁して家から一歩も出すつもりはないと?」

林田翔太は一瞬虚を突かれたようだったが、自分の機嫌が悪かったことに気づいたのか、慌てて言った。「心配しただけだよ。君の病気がまだ治っていないのは知っているだろう。もし無闇に外に出たら、悪化するかもしれない...

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