第195章

翔太は反論の言葉が見つからないのか、ギリリと歯噛みして言った。

「だったらさっさと済ませろ」

 彼が嫌がれば嫌がるほど、こちらの思う壺だ。私は構わず辺りを見回した。

 以前は見かけなかった顔ぶれも多い。その中に、由紀子の夫である西野蒼大の姿を見つけた。

 今や由紀子が稼げなくなったせいか、かつては甲斐性なしの能なし夫だった蒼大が、随分と偉そうに振る舞っている。妻である由紀子に対して、指図までしている始末だ。

 他の親戚連中は知らずとも、蒼大だけは林田家の内情を一番よく理解している。私がいなければ、この一家など砂上の楼閣に過ぎないということを、骨身に染みて分かっているのだ。

 だか...

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