第254章

 弘之はこう言って彼を労った。「いや、いいんだ。忙しい中、急な呼び出しに来てくれただけで十分だよ」

 なぜか、私は後ろめたさを感じた。

 俯いて自分の手を見つめ、口を開くこともできない。

 弘之は、私と蓮が気まずい関係にあることをまだ知らない。

 というか、私が一方的に蓮を切り捨て、距離を置いていることは、今のところ母と奈菜しか知らないのだ。

 他人に対してどう説明すればいいのか、まだ考えがまとまっていなかった。

 今、弘之がわざわざ蓮を呼んだのは、まさか私たちのことだろうか?

 そう考え、いや、ありえないと思い直す。

蓮の性格上、私たちの事情をペラペラと他人に話すような人で...

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