第260章

美香の一件で唯一気楽な立場にいるのは、恐らく愛美だろう。

 彼女の気分は何の影響も受けていないようで、私たちと一緒に帰宅する道すがらも楽しそうに談笑していた。

 私と奈菜は時折顔を見合わせ、そのたびに苦笑いを浮かべるしかない。

 本当に、愛美になんと言えばいいのやら……。

 家に着き、買ってきた食材を仕分けしている間も愛美はさっきの話を続けていた。

「あの時、美香を翔太にあてがった時はどうなるかと思ったけど、まさかあんなにうまくいくなんてね……。今にして思えば、やっぱり彼女、大したタマだわ」

 私は心の中で毒づく。そりゃあ、大したタマでしょうよ。

 何せ、あんたの旦那である慎也...

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