第267章

西田蓮の名前を聞いて、心臓が早鐘を打つ。

「……それ、あなたと何か関係があるんですか?」

「そうムキにならないで」

 藤原美香は店員を呼ぶと、私にレッドベルベットケーキを注文してくれた。だが、目の前に置かれたそのケーキを見ても、食欲などこれっぽっちも湧いてこない。

「西田蓮とは以前、少し接点があっただけよ。あなたが想像するような関係じゃないわ。彼は私たちの界隈の人間じゃないし、私だって彼をターゲットにするような依頼は受けてない。だから彼はまだ『シロ』……綺麗なままよ。安心していいわ」

 藤原美香は言葉の端々で、私の表情を窺っている。

 私の顔に出た微細な変化も、彼女にはすべてお見...

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