第293章

結局、渡辺さんに食事に行こうと促され、私たちはようやく部屋を後にした。去り際、二人とも名残惜しさを隠せずにいた。

 ただ隣に座って言葉を交わすだけでも、私にとってはかけがえのない時間だ。

 やはり私は、西田蓮のことが好きなのだと思う。

 その想いは、かつて林田翔太に嫁いだ時の感情よりも、はるかに強く、鮮烈だった。

 翌朝。

 私が目を覚ますのとほぼ同時に、西田蓮から電話がかかってきた。

「昨日はよく眠れたかい?」

 私は声を弾ませて答える。

「ええ、ぐっすりと」

 胸につかえていた重石が取れたようで、心はかつてないほど晴れやかだった。

 それに、西田蓮に課した「お試し期間...

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