第294章

私たち三人は、ようやくあの女が以前かくまわれていた家へと向かった。

 正直に言えば、一連の手配はほとんど弘之に任せきりで、私はノータッチだった。

 だから、この住所には何の馴染みもない。

 思い返してみれば、あの日直也を連れ戻すためにここへ来て以来、一度も足を踏み入れていなかったはずだ。

 弘之の先導で、入り組んだ路地を進む。

 人目を避けるにはうってつけの場所ということで、彼はあえてこの密集した古い住宅街を選んだようだ。

 辺りは薄暗く、圧迫感がある。弘之の案内がなければ、私や歩美のような人間が近寄ることはまずなかっただろう。

 あの女が住んでいたアパートの前に着くと、弘之が...

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