第296章

愛美はその場に立ち止まった。どうやら、私と腹を割って話すつもりのようだ。

 私は観念して、彼女の方へと振り返る。

 愛美は私の視線を真っ向から受け止めると、何かを察したのか、疑惑の色を浮かべて私を見つめた。

「由依、正直に言って。うちの旦那を見てから、あなたの顔色がずっとおかしいわ。私たち夫婦の間で何かあったの?」

 愛美は、私と慎也の間に何かトラブルがあったと疑っているわけではない。ただ、この状況に何か裏があるに違いないと本能的に感じ取っているのだ。

 彼女はやはり、聡明な女性だ。

 私は小さく溜息をついた。

 事ここに至っては、これ以上彼女に隠し通すことなど不可能だ。

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