第297章

北川歩美は眉をひそめた。

「二人とも、休憩室で話してくるといい。俺がドアの前で見張ってるから」

 彼は目の前の状況にどう対処すべきか決めかねていて、そう提案するしかなかったのだろう。

 私は頷き、上村愛美の手を引いて休憩室へと向かった。その途中、小林奈菜にも一言声をかけるために引き返す。

 小林奈菜は今、猫の手も借りたいほどの忙しさだ。私の報告を聞くと、意味深な視線を向けてきた。

「あんたも大変ね」

「ただ、この後のプライベート・オーダー会が始まったら、悪いけど一人で場を仕切ってほしいの。私はちょっと手が離せそうにないから」

 そのことに触れると、申し訳なさが込み上げてくる。

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