第337章

振り返ると、小林奈菜がいたずらっぽい笑みを浮かべて言った。

「なによ。あの人が行ったばかりだからって、もう私たちと話す気もなくなったわけ?」

 その言葉に、私は肘で彼女を軽く小突いた。

「もう、よしてよ。そんな恋愛脳じゃないわよ。ちょっと別のことを考えてただけ!」

 小村望と陽菜のこと――特にあの子に関する推測や議論については、奈菜になら話してもいいと思っていた。

 でも、ここには他の人もいる。この話を周知の事実にするわけにはいかない。

 だから私は奈菜に目配せをして、『あとで話す』と合図を送った。

 向こうで石原実花が声をかけてきた。

「ここ、本当にいい場所を選んでくれたわ...

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