第373章

西田蓮が一歩前に進み出ると、凍てつくような声で告げた。

「林田翔太、こんなことに何の意味もない。ナイフを捨てろ、話し合おう」

「直也はお前の息子だろう。『虎は飢えても子を食らわず』と言うじゃないか」

 林田翔太は鼻で笑い、その声には明らかな蔑みが滲んでいた。

「お前らの言葉など信じると思うか? 西田蓮、人の女を奪った略奪者が、よくも抜け抜けと説教できたもんだな!」

 そう吐き捨てると、彼が握るナイフに力が込められた。

 直也の首筋に赤い血の筋が浮かぶ。私の心臓は、口から飛び出しそうだった。

 間一髪の瞬間、西田蓮が猛然と飛びかかり、林田翔太の手首を掴んだ。

 二人がもみ合いに...

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