第383章

私は小さく頷き、張り詰めていた神経を少しだけ緩める。

私たちはすぐに警察へ連絡を入れ、犯人の要求を伝えた。

警察側は即座に行動計画を策定し、取引現場に張り込んで直也の安全を確保するとの確約をくれた。

夜の十時。私たちは犯人の指示通り、現金五百万円を携えて郊外の廃工場へと足を運んだ。

この場所には覚えがある。以前、林田翔太が直也を連れ出したのも、確かこの近くだったはずだ。

歩を進めるごとに、疑念が確信へと変わっていく。今回の犯人は、林田翔太と通じているのではないか……?

でなければ、わざわざこんな工場の近くを選ぶはずがない。

警察はすでに周囲に潜伏し、犯人の出現を待っている。

...

ログインして続きを読む