第41章

田中美咲は所詮、林田翔太から私を毎日監視するよう命じられていたわけではないので、それほど疑うこともなかった。

「由依さん、どうして電気をつけないんですか?」

「ほんの数歩ですし、見えると思ったんです」

田中美咲は何も言わず、鞄を置くと自分の部屋に戻っていった。

彼女が去った後、私は周りに誰もいないことを確かめてから、ボイスレコーダーを手に取り、部屋へと戻った。

ドアに鍵をかけ、トイレの中に入って再生ボタンを押す。

いつものように冒頭の雑音を飛ばすと、案の定、田中奈美と林田翔太の話し声が聞こえてきた。

「翔太さん、由依さん、今日小林奈菜に会いに行ってました」

林田翔太の声が低く...

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