第45章

「好きなのを選んで。今日は私のおごりだから」

オートクチュールのドレス一着がどれだけ高価か知っているのに、彼女はあっさりとプレゼントしてくれると言う。

私が彼女を見つめていると、小林奈菜は得意げに笑った。「なに? 私に惚れちゃった?」

私は頷き、珍しく甘ったるい声で言った。「あなたが一番好きよ」

小林奈菜は途端に嫌そうな顔を見せる。「やめてよ。服を一着あげただけでそれなら、この先もっといいものをあげたら、家ごとくれちゃうんじゃないの?」

私たちは二人して声を上げて笑った。お互いに、こんなに気が休まる時間を過ごすのは久しぶりだと感じていた。

私は小林奈菜が用意してくれた...

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