第66章

小林奈菜と私がそう推測していると、彼女は待っていた相手を見つけたかのように、自ら駆け寄っていった。

私と小林奈菜がそちらに目をやると、山本美希がすらりとした長身の男の腕に絡みつき、嬉々として向かいのホテルへと入っていくのが見えた。

私と小林奈菜は顔を見合わせる。まるであり得ないものを見たかのように。

山本美希に、他に男がいたなんて?

ふと、以前松本弘之が言っていたことを思い出す。山本美希が西野賢太とホテルへ行ったと。二人が何をしていたか確証はなかったが、今となっては結果は一目瞭然だ。

「この山本美希って、寂しがり屋でそこら中の男を誘惑してるのね。林田翔太は知ってるのかしら...

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