第744章 本物と偽物

その言葉を聞いて、私は全身が粟立つような悪寒を覚えた。観客の感情を煽る言葉などいくらでもあるはずなのに、なぜこの男はわざと「花」に言及するのだろうか?

「どうか教えてください。皆さんは、何本のお花が欲しいですか?」

男は目を細めてにこやかに尋ねた。

誰かが訝しげな声を上げた。

「花なんて関係ないだろう。人体消失マジックじゃないのか?」

「ただ答えていただければいいのです。花びらが空高く舞い散る光景を、見てみたくはありませんか?」

男は口角を吊り上げた。

間もなく、観客の中から声が上がった。

「見たい!」

すかさず男が指を鳴らすと、赤い布に包まれていた人影が、一瞬にしてふっと...

ログインして続きを読む