第86章

「現在、会社では賢太と翔太は決裂している。だから脅威とは言えないな」

「唯一警戒に値するのは美玲と由紀子だが、美玲は経営に関与していない。となると、残るは由紀子ただ一人だ」

「あの女は、御しやすいとも言えるし、厄介だとも言える」

「どういうこと?」

私は由紀子の印象を思い返した。

「あの人は金に執着していて、自分の利益しか見ていないの。自分のためなら会社の利益なんて平気で後回しにできる女よ」

以前、彼女が経理を担当していた頃、公金の使い込みで刑務所行きになりかけたことがあった。結局、私が肩代わりして返済し、揉み消してやったのだ。

蓮は頷いた。

「ならば好都合だ。敵に明確な弱点...

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