第95章

薬を受け取って病室に戻った私たちは、少し考えた末、やはり自宅へ戻ることに決めた。ここでは何かと不便だし、何より翔太の動きを監視することができない。やはり、美希の死には彼が深く関わっている――その疑念がどうしても拭えなかったのだ。

奈菜も私の考えに賛成し、手早く荷物をまとめてくれた。二人で車に乗り込み、病院を後にしようとしたその時、ふと見覚えのある人影が目に入った。

向こうも私に気づいたようで、親しげに近づいてくる。

「由依さん」

驚いて顔を上げると、そこにいたのは美玲の夫、小村 望(こむら のぞむ)だった。

望とはずいぶん久しぶりだ。最後に会ったのは正月に林田家へ行った時で、その後...

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