第17章 離婚しない

山﨑蓮の体が、ほんの一瞬だけ強ばった。反射的に突き放そうとする。だが下山柚奈は、さらに腕に力を込めて抱きついてきた。

「蓮、ごめんなさい。こんなことしちゃいけないって分かってる。でも……気持ちって、どうしたって止められないでしょう?」

柚奈が顔を上げる。唇が蓮の耳元をかすめた。そこが彼の弱い場所のひとつだと、彼女は知っている。

案の定、蓮の耳が赤く染まり、息が荒くなる。

柚奈は片腕で彼の首に絡みつき、もう片方の手で頬を撫でた。指先は唇へ、喉仏へ、ゆっくりと滑り落ちて――最後に胸元で止まる。

「蓮、分かってる。ここには私がいる。ずっと、私だけがいるの」

細い指が器用にシャツのボタン...

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