第188章 彼女自身のために

山本由樹は振り返って彼女を見た。得意げな笑みを、これでもかというほど浮かべて。

「俺に任せとけって」

「何人かのツテをたどってさ。特急で空輸かけた。来月の10日に着くから、お前のほうは受け入れ準備だけしとけ」

谷口美桜は彼を見つめ、胸の奥に複雑なものが込み上げた。

この人、口を開けばふざけてばかりなのに。やることだけは、いつも妙に確かだ。

「……ありがとう」

山本由樹はひらひらと手を振る。

「礼なんかいらねぇよ。俺の魚、忘れんな」

そう言い残して、ドアを押して出ていった。

谷口美桜はそのまま座り、閉まったドアを見つめる。

窓から差し込む陽射しが床に落ちて、じんわりと温かい...

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