第197章 彼は動いた

児童養護施設の松浦先生から電話がかかってきたとき、谷口美桜はしばらく状況が飲み込めなかった。

「松浦先生……何かの間違いじゃないですか? 私、家具を送るよう頼んでません」

「え? でもね、業者さんは『谷口さんのご依頼です』って。注文書の購入者名も、谷口美桜さんになってるのよ」

それを聞いて、美桜はわずかに眉をひそめた。

「……何が届いたんですか?」

「普通の家具一式に、それから授業で使う機材も結構。あまりに行き届いてたから、てっきりあなたが手配したのかと思って……深く聞かなかったの」

松浦先生の声には、どこか後ろめたさが混じっていた。

普段、施設に物を届けてくる「善意の人」たち...

ログインして続きを読む