第201章 自分で探しに行く

会議室は、ぴたりと静まり返った。

全員の視線が、一斉に大野直哉へ集まる。

遺書――大野明子の遺書?

そんな話、誰も聞かされていなかった。

大野直哉の表情は崩れない。ただ、車椅子の肘掛けを握る指先だけが、わずかに強張った。

けれど次の瞬間には、何事もなかったかのように落ち着きを取り戻す。

「……確かに、遺書はある」

顔を上げ、谷口美桜を見た。眼差しは柔らかい。

「君のお母さんが亡くなったとき、君がどこにいるのか分からなかった。だから遺産は、ずっと私が君のために保管してきたんだ」

「手紙も二十年以上、預かっていた。渡すのにふさわしい時期を待っていたんだよ」

「今は、ふさわしく...

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