第205章 思い通りに操る

谷口美桜の視線が、その封筒に吸い寄せられた。大野直哉から渡されたものと、まったく同じ。指先に、わずかに力がこもる。

「どこで手に入れたの?」

山﨑蓮は答えない。ただ彼女を見つめたまま言う。

「車で話そう」

谷口美桜は拳を握りしめる。

「山﨑蓮、いったい何がしたいの?」

「手伝いたい」山﨑蓮が半歩、距離を詰める。

「いらない」谷口美桜は反射的に退いた。

「必要だ」山﨑蓮も一歩、前へ。「君のおじさんが渡した手紙は偽物だ。母親が本当は何を書いたのか、知りたくないのか?」

心臓が、半拍遅れて跳ねた。

山﨑蓮が、こんなことで嘘をつくとは思えない。なら、彼の手にある遺書は本物なのだろ...

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