第230章 命を狙う

山本由樹はエンジンをかけると、そのままハンドルを切って市街地へ向かった。

助手席の谷口美桜は、集めた証拠を何度も何度もめくり返す。

くん、と鼻をすすり、胸の奥がじわりと熱くなった。

両親は、自分たちが死ぬと分かっていた。だから、早い段階で隠したのだ。

自分たちが消えたあと、誰も助けてくれないことも――大野家が、そういう家だということも。

大野家の連中の顔が脳裏に浮かび、谷口美桜の目がすっと冷える。

大野家なんて、どうでもいい。欲しいのは、ただの公平だ。

走り出して十数分。

山本由樹のスマホが突然鳴った。

彼は迷いなく通話を取る。受話口から、大野文彦の切迫した声が飛び込んでき...

ログインして続きを読む