第32章 知っている人を口封じする

新製品研究開発部の会議室は、どこか空気が重かった。

前に立つ下山柚奈の表情は硬い。厳しさの奥に、焦りと憂いが滲んでいる。

「今日、みんなを集めたのは……かなり重大な話があるからです」

「これから立ち上げる新薬研究開発プロジェクト、それから――例の論文の件」

しん、と静まり返る室内。誰ひとり、息をする音すら立てない。

下山柚奈は一度、喉を整えた。

「あの論文は、私がライアン医科大学で教授のもと研究していた頃から温めてきたテーマです。海外の複数のトップ研究室とも共同で進めていて……結婚前の段階で、国際共同の登録申請も済ませてあります」

一拍置き、声を強める。

「この件は、山﨑社長...

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