第45章 バングルを返す

総務部の隅にあるデスクで、谷口美桜は最後の電子ファイルを整えていた。

私物はすべて焼けてしまい、机の上はほとんど空っぽだ。ただ、葉山千春が持ってきてくれた傷跡ケアのクリームだけが、ぽつんと残っている。

スマホがぶるっと震え、葉山賢人からメッセージが届いた。

【会社の研究室の連中、何人かは君のために証言してくれる。それと前に書いてた原稿もアーカイブに残ってた。俺が引き続き集めておく】

谷口美桜は「ありがとう」とだけ返す。胸の奥が少し緩んだ。あとは研究開発部で残りの証拠を押さえればいい。十分とは言えなくても、下山柚奈と真正面から突き合わせるだけの材料にはなる。

――絶対に、私の心血を無...

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