第46章 彼女が去ることを知る

「――夫だ」

その言葉が喉までせり上がった瞬間、下山柚奈が慌てて遮った。

「蓮、私が帰って探す。見つかったらちゃんと返すから。そんなことで美桜に腹を立てないで」

そう言ってから、彼女は申し訳なさそうに谷口美桜へ視線を向ける。

「ねえ、美桜。あなた、ほんとに見間違いだよ。私のバングルは全部、蓮がくれたもの……でしょ?」

山﨑蓮はわずかに眉を寄せたが、反射的に頷いてしまう。

柚奈に贈った宝飾品はあまりに多い。どれがどのバングルか、正直覚えていない。

だが確信だけはあった。谷口美桜には、バングルなんてない。自分は彼女に、まともな贈り物を一度だってしていないのだから。

その事実が、胸...

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