第258話サイコ

「何の用?」彼女の声は平坦で、冷ややかだった。社交辞令を口にする気など毛頭ない。

ハリソンはデスクから数歩離れたところに立っていた。普段は完璧に着こなしているスーツには皺が寄り、髪も少し乱れている。

彼は彼女の顔を見つめていた。オフィスの無機質な照明の下でも相変わらずハッとするほど美しいその顔を。だが、彼の両目はひどく血走っていた。

彼のその有様に、彼女は心底驚いた。

ハリソンと知り合ってからこれまで、彼がこんな姿を見せたことは一度もなかった。何かがあったに違いない。

彼女がそれ以上考えを巡らせる前に、ハリソンはすでにデスクへと歩み寄っていた。

彼はデスクの縁に両手をついて身を乗り...

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