第101章 不味い魚のスープ

ちょうど山口夏美たちが到着したその時、大村さんが口を開いた。

「今日は魚のスープがあるのか。ちょうど好物だ、一杯貰おうか」

中島結子は殊勝な手つきで椀に盛り、自ら恭しく大村さんの元へ運ぶと、猫を被ったような声で言った。

「お爺様、どうぞ召し上がってください。お口に合うといいのですが」

さらに彼女は、前田謙信に流し目を送り、甘ったるい声で尋ねる。

「先輩も、いかがですか?」

前田謙信は礼儀正しく辞退した。

一方、竹中萌香は褒め言葉を並べ立てながら、自分の椀になみなみとスープを注ぎ、勢いよく一口啜った。瞬間、彼女の顔が梅干しのようにくしゃりと歪む。喉の奥から何かがせり上がっ...

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