第111章 彼女は特別

囲碁道場を後にすると、中島結子のもとに竹中萌香から電話がかかってきた。竹中唯斗の傷の手当ては済み、数日後の包帯交換以外は、安静にしていれば問題ないとのことだった。

萌香は続けて、囲碁の試合結果について尋ねてきた。

中島結子は渋々といった口調で答える。

「二位だったわ」

竹中萌香は声を弾ませた。

「それなら悪くないじゃない。囲碁協会に入れるし、これからは伊藤健に会える機会も増えるわよ」

兄が怪我をしたことで、彼女は中島結子が順位を落とすのではないかと心配していたのだ。

「それで、あの山口夏美はどうだったの? やっぱり一回戦で負けたんでしょ?」

中島結子は深く息を吸い込...

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