第119章 賭け

ソフィアは小屋にいるトナカイたちを一瞥すると、高らかに笑い声を上げた。

「どいつもこいつも役立たずの駄馬ばかりね。私はただの遊びで乗ってただけよ。あんたがそいつらの足をへし折るほど鞭打ったところで、私には勝てっこないわ」

山口夏美は顔色一つ変えずに言い返す。

「私が勝ったら?」

ソフィアは首を振り、鼻で笑った。

「あんたが? ありえないわね」

山口夏美は、脇で草を食んでいる『女王』を指差した。

「この子で勝つわ」

一目見た瞬間から、その血統の非凡さを感じ取っていた。実力ある獣は、すべからく誇り高いものだ。聞けば、ソフィアが買い取ったものの、鞭すら恐れぬ気骨ゆえに結局乗...

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