第12章 中島結子 自業自得

中島結子は慌ててまた可哀想な表情を浮かべて懇願し、テーブルの上にあったミルクティーを一杯差し出した。「ミルクティー、どうぞ!」

進行係は手を伸ばしてそれを受け取った。まあいいか、笑顔の相手に手は出せない。「じゃあ急いで。五分だけよ」

中島結子は山口夏美の前に戻り、彼女のテーブルのミルクティーが少し飲まれているのを見て、心の中でほくそ笑んだ。

演目が被ったから何だというのだ。どうせ山口夏美は演奏できない。ただ、進行係はひとまずやり過ごさなければ。

彼女は甘く微笑んだ。「山口夏美、あなたと演目の順番を替えてもらえないかしら? 私、ちょっと緊張してて、先にやりたいの」

山口夏美...

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