第126章 数珠

ところが、前列に座る山口美崎もまた、このブレスレットに目を奪われていた。彼女は嬉しそうに声を上げる。

「これも素敵ね、娘に買ってあげましょう」

「ああ、買おう。だが、さっきのと似ているし、あのバングルほど良い物には見えんがな」

山口誠司がそう答える。

「あなたには分からないのよ。ブレスレットとバングルは全く別の装飾品だわ。見て、この軽やかさ、なんと瑞々しいこと」

山口美崎の言葉に、山口誠司は何度も頷き、代理人に落札するよう合図を送る。

スタート価格はわずか五十万。入札希望者は多かったが、価格が百万に達する頃には、手を挙げる者はまばらになっていた。

「百二十万」

自信に...

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