第128章 奇妙な縁

ウィリアムは彼が自ら助けを申し出てくれたと聞くや、感激のあまり瞳を潤ませ、その両手を握りしめて何度も礼を言った。しかし、ロスは難色を示した。そのような決定を下すには山口豪の同意が必要だと言うのだ。この船の最高責任者は山口豪だからである。

ロスが山口豪の意向を確認しに戻ると、ウィリアムは焦燥に駆られ、その場を行ったり来たりし始めた。相手が責任を負いたくないと考えるのは理解できる。だが同時に、相手が寛大で慈悲深い人物であってくれと願わずにはいられなかった。幸いなことに、山口豪は保身のために責任を恐れるような冷血漢ではなかった。彼はロスの要請をすぐに快諾した。

こうして、あのアジア人の少女が山...

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