第133章 岩井蒼の報復

ルースは彼女を驚きの眼差しで見つめた。これほど短い時間で、本当に解法を思いついたというのか? だが、山口夏美には先ほど助けられたばかりだ。彼女に対する印象はすこぶる良い。だからルースは余計なことは言わず、あの木箱を取り出すと山口夏美の前に広げた。

山口夏美は棋譜を見つめ、しばし思案する。自分の記憶に間違いがないか確認しているのだ。やがて、彼女は脇にあった黒石を一つ摘み上げると、あらかじめ決めていた位置に打ち下ろした。

「ここに打つわ。この解法、どうかしら?」

ルースは盤面を一瞥し、手をお手上げというふうに広げた。

「私にはさっぱり分からないわ」

この碁の局面を設けたのは、及川...

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