第18章 踏んでやる

ネットでは「さすが女神は一般人とは違う! 私が訓練すれば野人みたいになるのに、彼女は泥の中で転がっても新しい境地の美しさだ!」と絶賛の嵐だった。

これも彼女が芸能界への第一歩を踏み出すための足掛かりだった。

例えば今、ほとんどの女子生徒は訓練のために化粧をしていないが、中島結子は二時間も早く起きて化粧をしていた。一見するとシンプルで爽やかなメイクだが、その実、大変な手間がかけられている。

中島結子は当然、とうに算段をつけていた。多くのことは忘れてしまったが、事前に教官を買収しておくことまでは忘れていなかった。彼女に配られた砂袋は、見た目はパンパンに膨らんでいるが、中身は空っぽの綿...

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