第19章 英雄が美女を救う

前世では誰にでも愛想良く振る舞っていたというのに、結局誰も信じてはくれなかった。今回よりもずっと酷い濡れ衣を着せられたのだ。それならいっそ、このまま悪役を演じきった方が、少なくとも面倒なことにはならないだろう。

それに、今回転んで怪我をしたのは自分ではない。中島結子が痛がっているのを見ると、胸がすく思いがした。

「お姉様、一体何があったの? どうしてそんな風になってしまったの? 昔はそんな人じゃなかったじゃない」

どういうことだ。このクズは前世ではこんな態度ではなかったはず。私のご機嫌を取って、両親の愛情を少しでも分けてもらおうとしていたのではないのか?

まさか、中島家を出て外...

ログインして続きを読む