第20章 テントを奪う

初日の重装備ランニングを終え、午後は宿泊の準備と荷物整理の時間となった。

野外サバイバルのリアルさを体験させるため、宿泊施設は用意されておらず、代わりにテントが配られた。

二人一組で一つのテントを使い、組み合わせはランダムだった。

山口夏美は北村由紀という少女と組むことになった。丸顔で、笑うと可愛らしいえくぼが二つできる、なかなかの愛嬌の持ち主だ。

「よく見ておけ、見本は一度しか見せない。全員自分でテントを張るんだ。これからの二週間、お前たちは自分のテントで寝ることになる。ちゃんと張れなければ苦労するのは自分自身だ!」教官が念を押す。

組分けされたばかりの生徒たちがわらわら...

ログインして続きを読む